「背景に会社法の改正があります。バブル崩壊以降、相次ぐ企業の経営不祥事にかねてからコーポレート・ガバナンスの強化が叫ばれていたことから、社外取締役を最低2名を置くことが義務づけられるようになりました。加えて、金融庁と東京証券取引所が合同で取りまとめた『コーポレートガバナンス・コード(CGC=上場企業統治指針)』により、女性を役員に登用する流れがあります。このほかにもCGCは、社外取締役の比率を全役員の3分の1以上にすることも求めています。つまり、女子アナを社外取締役に起用することで、CGCの要求を手っ取り早く満たせるわけです」(同)
社外取締役の仕事とは、社内のしがらみや利害関係を持たず、外から客観的に会社の経営状況を判断して意見することだと言えそうだが、報酬を得ることで結局は利害関係が生じるのではないか。そもそも、社外取締役の報酬相場はいくらなのだろうか?
「コンサルティング会社のデトロイトトーマツが発表した、2021年度における社外取締役の報酬の中央値は800万円ほど。また、18年に朝日新聞と東京商工リサーチが共同で行った調査によると、東証1部(当時)上場企業が社外取締役に支払う平均報酬額は663万円でした。こうしたことから勘案するに、社外取締役の報酬相場は600万~800万円といったところでしょうか。もちろん会社の規模や仕事内容によっては、これより多かったりも少なかったりもするのでしょうが」(同)
いずれにせよ、年に何日か開かれる取締役会などに出席するだけで、これだけの金額がもらえるのなら美味しいと言うしかない。人気や仕事を失い、食いつめた有名人の行き着く先といえば政治家だったりするのが、これまでのパターンだった。だが、今後は社外取締役という“新たな道”もできつつある。彼らにとっては喜ばしい限りだろうが、庶民にとっては不公平感が募るばかりである。