■感想が抱きにくい

 今回は、おばあちゃん(余貴美子)が、がんで死ぬ話でした。雨ちゃんは子どものころ、おばあちゃんが福引きで当ててきたボイスレコーダーを使って、おばあちゃんと声の交換日記をしていました。ところがある雨の日、「雨を好きになって」というおばあちゃんのメッセージに逆上した雨ちゃんは、そのレコーダーを庭の水たまりに投げ捨ててしまいます。

 仕事から帰ってきたおばあちゃんがそれを拾って持ち帰るわけですが、驚くべきことに、この数時間にわたって浸水したボイスレコーダーが壊れてないんですね。IPX8準拠かな。20年前の製品なのに。

 と、それはさすがに重箱の隅すぎるイチャモンなのですが、今回の話は感想が抱きにくいんですよね。何しろ、人が死んでるので。

 まったく、いい話ではないです。自身の死期を悟ったおばあちゃんは、虐待サバイバーである雨ちゃんと、おばあちゃんの娘であり雨ちゃんのママである虐待加害者を引き合わせます。ママは精神科に入院中ですが、雨ちゃんに内緒で一時退院させています。

 虐待被害者である雨ちゃんの同意を取らず、サプライズでママに引き合わせるというのは、いわゆる「セカンド虐待」以外の何物でもないわけですが、おばあちゃんは「自分がもうすぐ死ぬ」という事実がエクスキューズになると思っているようです。あのね、そんなこと関係ねえからな。おまえの都合で勝手に決めていいことではないからな。