その惨劇の様子をベランダでタバコを吸っていた女性営業員・栗原(小島藤子)の目線から、窓ガラス越しにカメラは映し出しています。ちさとが窓ガラスを開ける瞬間のゾワゾワ感は、堪らないものがありました。

モラトリアムを卒業した前田敦子が再登場

 ちさとは殺し屋協会の営業部を全滅させたわけですから、もう殺し屋協会にいることはできません。また、まひろも協会から「粛清」命令が下されていた監査部の上司・日野(柄本時生)を殺さずに見逃していたため、やはり協会にとどまることができません。ちさまひコンビは、協会全体を敵に回したことになります。

 今夜放送の最終回は、どんな展開になるのでしょうか? リドリー・スコット監督による女性版アメリカン・ニューシネマと呼ばれる『テルマ&ルイーズ』(1991年)のような逃亡劇になるのでしょうか。

 最終回には、劇場版第3弾『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』(公開中)に地方在住の殺し屋・入鹿みなみ役を好演した前田敦子が第6話に続いて再登場します。前田敦子はAKB48を卒業した直後、山下敦弘監督の『もらとりあむタマ子』(2013年)に主演し、女優としての評価を高めました。モラトリアム期からの卒業で葛藤するちさまひにとっては、格好のモデルケースとなる先輩です。

 第9話以降は姿を見せていなかった「死体処理係」の宮内茉奈(中井友望)の動向も、気になるところです。女の敵は女なのか、それとも味方なのか。女たちの決断が、物語の行方を大きく左右することになりそうです。

もはや「神」となった髙石あかり。気になる結末は?

 2025年後期のNHK朝ドラ『ばけばけ』のヒロインに選ばれたことで注目度が急上昇している髙石あかり演じる杉本ちさとですが、第11話で片目を負傷しています。これは『ベビわる』生みの親である阪元裕吾監督の意図的な演出でしょう。

 タイトルに謳われている「ワルキューレ」とは、北欧神話に登場する「戦いの神」オーディンに仕える乙女のことです。戦場で戦う兵士たちの生死を選別する役割を負っています。いわば半分は人間、半分は神である「半神」のような存在です。