ただ、これらのプランはチームに“田中シフト”を強いることになる。楽天は今江敏晃監督がたった1年でクビを切られ、来季は最低でもAクラス入りが求められる状況だ。それならいっそ、特別扱いは一切しないという方法もある。ベテランのスポーツジャーナリストは名球会の内情についてこう話す。

「名球会はもともと200勝と2000安打が入会の条件でしたが、2003年に250セーブが加わり、2019年には特例が設けられて“規定に相当する記録保持者”でも入会が可能となりました。それで入会が認められたのが上原浩治と藤川球児です。彼らの場合、先発・中継ぎ・抑えをやったため、数字が規定に達しなかったという理由でしたが、本塁打数通算478本で歴代10位の中村剛也(西武)も入会を認めようという議論があり、入会規定は緩くなる傾向にある。もし田中が200勝に達しなくても“日米で活躍して……”といった理由で入会が認められる可能性は高いでしょう」(スポーツジャーナリスト)

 つまるところ、“すでに田中は入会資格を満たしている”ということになるだろう。実際にやれば反発も招きそうだが、背景には名球会という組織の“知られざる側面”がある。

「名誉ある名球会は、実はビジネス的な側面が非常に強い。そもそも創設の経緯からして、商才に長けた金田正一が発起人で、事務所も金田の個人事務所と同じ場所にあったほど。自分より年上の連中が入ると面倒なので、わざわざ入会規定に『昭和生まれ』と入れたため、“さすがカネヤン”と囁かれました。

今や名球会は昭和30年~40年代生まれが中心ですが、プロ野球離れが進む中、誰もが名前を知る田中は組織に箔(はく)をつける人間として絶対に欲しい。田中の名前があればイベントでも確実に集客が見込めますし、スポンサーの集まり方も違ってきますから」(同上)

 もっとも、田中がそれを望むかどうかは微妙だ。前出の週刊誌スポーツ担当記者は言う。