本作の時代は2017年に設定されているが、いつの時代もこういう男たちは、金にものをいわせた遊びしか頭にないのか。大根仁監督は、虚しさを思いきり感じるように、変にデフォルメすることも美化することなく、冷徹な視線を彼らに注いでいる。

 目先の欲望の汁をすするだけの男たちに、深い軽蔑の眼差しを多くの視聴者が共有しているものと思いたい。でも人によっては彼らの生き方に憧れてしまうのかも。そこが大根監督の演出の恐ろしさでもある。

 では、地面師たちにとっては100億超えの詐欺案件に、知らず知らず参加してしまっている青柳は、どうなるのか?

◆下半身事情はどうでもいい

玉木雄一郎instagramより
玉木雄一郎instagramより
 とても印象的な場面がある。第4話、地面師たちへの提案をひかえた青柳のチームが夜遅くまで資料を作成する。彼が納得する資料ができ上がり、部下のひとりに1万円札を渡して、買えるだけのビールを買ってこいと命じる。

 喜ぶ部下たちを横目に、青柳はある部分をいじる。カメラが机の下へ移動する。青柳が自分の股間をがっしりにぎっている。大型案件をまとめて挽回しようとするエネルギーが、下半身と連動するもんなんだなぁ、こういう人は。でもそんな下半身事情をいきなり見せられてもねぇ……。

 街頭演説中のれいわ新選組代表・山本太郎氏は、玉木代表の不倫発覚について、「下半身問題で国民は死ぬことはないんですよ」と簡潔に述べた。政治家としての倫理観はもちろん看過できない。でも国民にとって野党党首の下半身事情はほんとうにどうでもいい。

 大根監督がわざわざカメラをなめらかに移動させて写す青柳の下半身事情が、視聴者にとってどうでもいいことであるのとほとんどイコールなくらいどうでもいい。

◆大仕事のあとの興奮と快楽

 11月11日、不倫が発覚した玉木代表は記者会見をした。「浮かれていた部分があった」と話していたが、X上では、「玉木のあの目が血走ってた謝罪会見の時の顔の感じ地面師の山本耕史の最後のシーンの表情の雰囲気に近い」や「玉木さんから感じる青柳感半端ねぇわ」など、類似点を指摘する投稿がたくさんあった。