人口密集地帯自体が隠れみのとなりながら、土地をほしがる相手をねらい、不動産プロ同士が、だまし、だまされる。地面師グループを仕切るなぞの男ハリソン山中(豊川悦司)が、情報屋である竹下(北村一輝)の情報を瞬時に選別して計画をたてる。
それに基づいて、ハリソンの右腕である辻本拓海(綾野剛)が交渉役を担当。キャスティング担当の麗子(小池栄子)が売り主を装う人材を配役する。さらに元司法書士で法律担当の後藤(ピエール瀧)が、いろいろと悪知恵を働かせる。などなど、他にも役割が細かく分担されている。
◆“コンプラ完全無視男”である青柳
地面師たちを追う定年退職前の刑事・辰(リリー・フランキー)の捜査が平行して描かれるのだが、土地の売買契約でだまされる相手もいけすかない連中ばかり。第1話でだまされるのが、新興不動産会社マイクホームズの社長である真木(駿河太郎)。
地面師たちとは知らず、いい契約を結んだとぬか喜びする真木は、グラビア女優との派手な不倫が週刊誌にすっぱぬかれるような人物である。金がある男たちは、どいつもこいつもそんなやつらばかりなのか。いけすかない。
第2話からは冒頭で類似の人物として名前をあげた青柳が登場する。頓挫しかけている大規模事業の責任を追及されている。前時代的な価値観で“コンプラ完全無視男”である青柳は、昔付き合いのあった地上げ屋を頼るが、追い返される。路地からでてきた青柳が、彼の責任を追及する出世争いのライバル社員・須永(松尾諭)と出くわす場面がある。
◆大根監督の演出の恐ろしさ
社長派、会長派で派閥争いをするこの石洋ハウス社内で、会長派の須永は、社長派の青柳をとことん見下している。路地からひとりでてきた青柳に対して、須永は両手に華といわんばかり、華美な服装の女性ふたりと肩を組んで、我が物顔で闊歩する。