藤井 それは僕もすごく感じていて、沖田さんが愛情をかけて木原を書いていく上で、「自分が木原だったら、こう言うかもな」みたいな自己投影をしているんじゃないかと。だからこその人間味がベースとしてあって、それを健太さんが演じて、監督が演出することで、また違う木原が育っていくという感じですよね。
――今回、藤井さんは直接メガホンを取るではなく、プロデューサーという立場にあったので作品を客観的に見られるところもあったと思いますが、完成した『闇を生きる~』をどうご覧になりましたか?
藤井 1作目は、木原慶次郎という男がどういう人間なのか、それぞれの登場人物との関係性、「インフォーマ」とは何をするものなのかなどを、ある種セットアップをするような必要性がありました。そこがきっちりできたからこそ、今作は、エンタテインメントに振り切れていますよね。ABEMAがしっかりと予算を組んでくれたことで、その規模感が拡張できたのかなと思っていて、プロデューサーとして誇らしい気持ちもあります。
沖田 藤井さんって、本来はすごく辛口なんですよ(笑)。自分は監修者としてできる限り現場に行っていきましたが、撮っているときは、客観的に見にくい部分もあって、「果たしてほんまに面白いんやろか?」という部分もありました。ただ、出来上がったものを藤井さんに「すごい」と言ってもらえたことで、間違ってなかったんだなという安堵感はありました。
——前作『インフォーマ』の放送から2年も立たないうちに、続編が放送されることになりました。異例のスピードですが、この間にどのような流れがあったのでしょうか?
沖田 作品にかかわった誰もが、このチームで続編をやりたいと、前作の撮影中から口にしてました。そんな思いも相まって、主演の桐谷さんや佐野玲於さんをはじめとした俳優部の皆さん、プロデューサー陣、スタッフの人たち……いろんなかたちで携わってくれた人たちのそれぞれの熱量が視聴者にもちゃんと伝わったのかなって。その視聴者からの反響や評判がこちらにも跳ね返ってくるのがよくわかって。だからこそ藤井さんが、すんなりと「次をやりましょう」って言葉に出せるような状況が生まれたんだと思います。それだけ、作品が力強かったんでしょうね。そこから、続編に向けての自分たちの動きは早かったですよ。