「視聴率はCMの売り上げに影響するため、今の時代でも局の“利益”と直接の相関関係にあると言われます。実際、2022年度の個人視聴率でフジテレビは全日・プライム帯ともに4大キー局で最下位でしたが、CM売上高も最下位という結果になっています。今年7月のフジテレビの新体制全体会議では、宮内正喜会長が『テレビ業界全体の広告収入が悪化し、とりわけフジは深刻で、緊急事態と言える状況』と指摘し、緊急対策を講じる必要があると危機感を露わにしました。フジは『silent』や『あなたがしてくれなくても』など配信で大ヒットを飛ばしていますが、見逃し配信のTVerは右肩上がりで成長しているものの、それでもまだまだ売上高としては低く、局にとっては収入の柱にはなりません。かといって、フジの公式動画配信サービス『FOD』の有料会員が劇的に増えたわけでもなく、今のところこうした“配信ヒット”はなかなか利益に結びつきがたい。まもなく公開の『ミステリと言う勿れ』を始め、月9作品を中心としたドラマの映画化が最近は目立ちますが、それもこれも“なんとかして稼ぐため”という側面が大きい」(週刊誌記者)

 夏ドラマの低迷で、宮内会長のいう“緊急事態”はますます緊迫感を帯びてきたかもしれない。フジテレビといえば、10月期からは金曜21時にドラマ枠がさらに増えるが……。

「フジだけでなく、各局が映画化などの展開を見据え、IP確保のためにドラマ枠をどんどん増やしている状況。しかし深夜帯ならまだ冒険はできますが、ゴールデン・プライム帯となるとなかなかそうはいかず、見慣れた面子がキャスティングされてしまいがち。今期も赤楚衛二や波留、坂口健太郎らが前クールからメインキャストで連続起用されていますが、今後さらにこういったケースが増えていくでしょう。また当然、“前のクールで似たような話をやってた”というストーリーや設定のかぶりも起こりやすい。しっかりクオリティが担保されればいいのですが……」(前出・テレビ誌記者)

 10月期のフジテレビドラマは、二宮和也、中谷美紀、大沢たかおのトリプル主演となる月9『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』や、『silent』のプロデューサーと脚本家が再タッグを組む多部未華子ら主演の『いちばんすきな花』、人気マンガの実写化となる向井理主演の『パリピ孔明』、橋本環奈主演の『トクメイ!警視庁特別会計係』、そしてムロツヨシと平手友梨奈共演の『うちの弁護士は手がかかる(仮)』などが予定されている。秋ドラマで挽回となるだろうか。