最近の「光る君へ」を観ていると、「芯」というものがとても大事なのだな、ということを実感する。
揺るがないものを持つ人はどっしりと構え、信頼感を増していく。が、芯がなければ、言動がブレ、周りから人が離れていく。ブレてしまうのも人間らしい。実のところ、この物語で一番揺れ動いているのは道長なのかもしれない。
◆道長を生かす、まひろの約束
三条天皇(木村達成)と覇権争いを繰り広げている道長(柄本佑)。いろいろありつつも、一条天皇はまだ道長の話を聞こうとする姿勢があった。が、三条天皇はギラギラだ。「おまえの言うとおりにはしないぞ!」という意気込みが伝わってくる。もちろん、道長も負けてはいないのだが、そんな中で体調を崩し、臥せってしまう。
さらにその隙を見計らったかのように、内裏には怪文書が出回る。道長の病を喜んでいる者がいると、その者たちの名前が書かれていたのだ。
多くの者は戸惑いながらも、身に覚えのないこと、として弁解したりはしなかった。が、このことが耳に入れば誰だっていい気はしない。ましてや、床に臥せっている状況でネガティブな話を聞けば、回復するものも回復しなくなる。
道長の気迫のようなものが少しずつ薄れていく。それを演技で現してしまうのだから、柄本佑は改めてすごい。
とはいえ、道長はまだまだ死ねない。
道長の命を救うべく、従者の百舌彦(本多力)が為時(岸谷五朗)の邸を訪れた。まひろ(吉高由里子)に会うためだ。
「道長に生きる力を与えられる人はまひろだけ」
ずっと道長のそばにいた百舌彦だからこその判断だろう。そして、まひろもその役割は自分にしかできないと思っているはず。
明子も倫子もいるというのにそちらの立場としては切ない話である。
……つくづく、現代版にしたらとんでもない物語になるだろう。時が平安でよかった。
まひろと会った道長は死を覚悟していた。誰のことも信じられない、信じられるのはまひろとの約束だけ。