軍艦島では朝子の食堂で、鉄平たちはチャンポンをいつも美味しそうに食べていますが、いづみ家の人たちはいつもつまらなそうに食事をしています。菓子研究家の福田里香氏が提唱する「フード理論」によれば、食べ物を不味そうに食べるキャラクターたちは残念な結果が待っていることになるはずです。

 今夜放送の第4話では、長崎の夏の風物詩である「精霊流し」が行われます。亡くなった人を供養するための儀式で、長崎では花火なども使い、派手に弔うことが知られています。

 ちなみに、軍艦島にあるお寺の和尚を演じるさだまさしは、長崎出身のシンガーソングライターです。フォークデュオ「グレープ」時代に、亡くなった従兄弟をモデルにした「精霊流し」をヒットさせています。従兄弟の恋人の目線から歌った曲です。未聴の方はぜひ一度聴いてみてください。

 軍艦島で採取された良質な石炭が、戦前から高度経済成長期までの日本を支えたわけですが、第4話では軍艦島で亡くなった人たちが回顧されることになりそうです。鉄平とその兄・進平(斎藤工)には、他にも早逝した兄や姉がいたようです。鉄平たち一家が、どんな歴史を歩んできたのか注目したいと思います。

 野木亜紀子脚本による『海ダイヤ』はフィクションの物語ですが、今の私たちの生活の基盤を築いてくれた先達たちを鎮魂する硬派な社会派ドラマでもあるようです。