クライム・ノベルといったアンダーグラウンドの世界を描くときに欠かせないのが拳銃である。
だが、それらの作品が映像化されたときに、実際にどれだけ銃撃シーンの演出にこだわれているかといえば、皆無といってもいいのではないだろうか。街中で拳銃を無闇矢鱈にバンバンバンバンッと撃てば撃つほど、観てる側からすると興醒めしてしまうのだ。あれでは当たらないと。というか、トリガーに指をかける位置からして間違っているである。
多くの場合、右手人差し指の第1関節でトリガーを絞っていることが多いのだが、撃って見ればわかる。その撃ち方では、指先部分が巻き込まれて、引き金を引くのに邪魔になってしまうのである。
本来は、指先のももで絞るのだ。そして、トリガーには遊びがあるので、指先にかかる重さの変化を感じながら、銃弾を放つのである。その時、銃口がでかければでかいほど、反動で大きく上へと跳ね上がり、揺れるのだ。横揺れではない。縦揺れしか引き起こさないのだ。
次に目である。狙いを定めるのは、両目ではない。右目だけである。
スナイパーを想像すればわかるだろう。スコープを両目で覗き込んでいるか。いないだろう。片目で見るからこそ、標的に焦点を定めやすいのだ。
地の利を活かしたというのは、タイ・バンコクでは観光客用に射撃場があって射撃できる点だ。撮影までに、スタッフや俳優部の人たちに、実際に射撃を体感してもらえる。それがあるとないとでは、出来上がる映像がまったく違う。私が去年5月にシナハンでタイに行った時には、すでにそのことを考えていた。すまない。あなたは天才ですか?と言ってやってほしい。
第2話からは発砲シーンが多いので、そのディティールひとつにおいても、こだわっているところも見ていってもらいたい。作品づくりとは、そういった一つひとつの積み重ねが大事であり、それが作品のリアリティを高めていくのだ。
木原慶次郎とポンコツがトゥクトゥクで爆走するシーンや、第2話で姿を現した男は、シーズン1に出てきたあの男と同一なのか? そしてゆっくりと躍動し始める二宮和也演じる高野龍之介。重なり合う鬼塚拓真、二階堂、優吉……これ以上はよそう。喋り過ぎてしまいそうだ。