■「全部本当」ということ

 まことさんがそういった考えに至ったのは、YUKAという人物を通して人間の多面性について考えたからでした。

 めちゃくちゃ計画性の高い嫌がらせを実行したのもYUKAだし、コーヒーを拭いてくれたのもYUKA。その両方が「本当のYUKA」です。

 イケメン3人はそれぞれ、まことさんのことを「クレバーな大人」「優しい」「正直だ、良くも悪くも」と評します。

「バラバラだけど、全部私なのかなって」

 本当の自分を探すとき、人は唯一無二の自分を求めてしまう。

 YUKAがそうであるように、自分にも多面性があると認めることで、まことさんはこれまでにない、すがすがしい表情を獲得していました。

 というお話なんですが、すがすがしい表情がホントにすごくすがすがしいんですよねえ。第1話で、めるるが見せる顔の表情の演技に注目したいと書きましたが、これだわー、と思いました。こういうふうに精緻な顔面のコントロールができるんだ、この人は。たいした俳優さんだと思います。

(文=どらまっ子AKIちゃん)