天皇家から、大貴族、中級貴族に至るまでさまざまな夫婦関係が取り上げられていたと思います。歴史的大事件といえば、タイトルにもなった中宮だった定子(高畑充希さん)が皇后になり、道長の娘の彰子(見上愛さん)が中宮になったというあたりだったのですが、定子は三女・媄子内親王を出産後、あっけなく亡くなってしまい、一帝二后の状態も解消されてしまいました。
しかし史実の定子は、ドラマの定子ほど楚々とした女性ではなかったように思われます。ドラマで清少納言(ファーストサマーウイカさん)が発見した定子の辞世の歌――「よもすがら 契りしことを忘れずは 恋ひん涙の 色ぞゆかしき」も、言葉を補って訳すると、「夜明けまで私と愛し合った思い出をあなた(一条天皇・ドラマでは塩野瑛久さん)が忘れていないのであれば、私がいなくなってから泣いてください。あなたが私を恋い慕って流す涙の色がどんな色なのか知りたい」となります。
辞世の歌は「ラストメッセージ」なのですが、その中でさえも、定子は夫である一条天皇に「夜明けまで愛し合ったよね」と語りかけているので、とても出家した尼だとは思えないナマグサ感を漂わせているのですね。相当な肉食系だったのではないかと思われてなりません。
「涙の色ぞゆかしき」というのも、「涙の色が知りたい」とするのが直訳なのですが、「私を愛していたのであれば、血の色の涙を流してください」くらいの意思は感じられるので、相当にこの世……もっというと一条天皇に未練を残して、私は死んでいくのだと言いきっているようなものです。