検閲のしすぎと思い込みによって、現実の光景に赤いフィルターがかかっているのか、観ている映画の中に入り込んでしまった感覚になっているのか、それとも見えているすべては妄想なのか…戸惑っているうちにもう次の戸惑いが生み出され続け、中盤以降は常に頭の中をグチャグチャにかき回されるような感覚に陥るのだ。
結局何が正しいのか。そもそも正しさ・誤りなど存在するのか。主人公は何が原因で、何を行ってしまっているのか。疑問や苦悩にとってつけたような簡単な回答を用意せず、あえて混沌としたまま作品に落とし込んだ今作の余韻は、観終わってからも思考と精神にじわりと残る。
『映画検閲』は9月6日(金)より新宿シネマカリテほかにて日本公開。
『映画検閲』作品情報
タイトル:『映画検閲』
原題:CENSOR
監督:プラノ・ベイリー=ボンド
脚本:プラノ・ベイリー=ボンド、アンソニー・フレッチャー
出演:ニアフ・アルガー、ニコラス・バーンズ、ヴィンセント・フランクリン、マイケル・スマイリー
2021年|イギリス|英語|84分|カラー|1:2.39|5.1ch|R15+|字幕翻訳:小河恵理
配給:オソレゾーン
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