しかし、客の恋愛感情を利用した「色恋営業」はホストクラブに限った話はなく、キャバクラやコンセプトカフェ(コンカフェ)、さらには一部のメンズ地下アイドル業界などでも使われている。「恋愛感情を利用して結んだ契約は取り消せる」となれば、後から客に「契約を取り消して返金しろ」と要求される可能性があり、従来のビジネスモデルが成り立たなくなるおそれがありそうだ。

 これを受けて、SNS上では水商売関係者を中心に「色恋営業での契約は取消可能って、もうホストクラブどころか夜職業界全体が終わりそう」「散々豪遊した後に『恋愛感情を利用された』って言えばチャラになるってこと?」「色恋営業を禁止されたらキャバもホストもみんな失業しちゃうよ」といった困惑の声が相次いだ。

 消費者庁は「本法は民事ルールであることから、客である当事者が契約の取消しを主張した上で、当事者間で解決していただく必要があり、最終的には、個別具体的な事案に即し、司法の場で判断されることになります」としており、契約取り消しを求めるのであれば民事裁判を起こす必要があるが、同庁が「要件を満たせば、色恋営業による契約は取り消し可能」との認識を強調した意味は大きい。今後はホストクラブやキャバクラなどで客とキャストの間にトラブルが起きた場合、訴訟に発展するケースが増えるかもしれない。

 ホストクラブの問題が大きくなったことで、水商売の世界で何となく“グレー”で済まされていた色恋営業が「デート商法に当たる可能性がある」と明確化されたともいえる。この影響がホストクラブを震源地としてキャバクラやコンカフェなどにも拡大していけば、ナイトワーク業界全体が大混乱になるおそれもありそうだ。