具体的には、客が社会生活上の経験が乏しいことから「ホストに対して恋愛感情など好意の感情を抱き」かつ、「両思いであると客が誤って信じているとホスト側が知っている」という状況に乗じ、ホストが「酒類などを注文してくれなければ関係が破綻する」などと告げ、売り掛けなどによる飲食の契約を結んだ場合は「契約を取り消すことができる」とされている。

 また、ホストが恋人同士の個人的なやり取り(売り掛け金の立て替えなど)だと主張している場合でも、ホストが同法上の事業者に該当する場合は、契約取り消しの対象になり得るという。さらに、ホストが勧誘時に価格や内容を偽って結ばせた契約や、退店したがっている客を強引に引き留めて結ばせた契約なども同法上の要件を満たせば取り消せるとしている。

 ホストクラブをめぐっては、使おうと思えば青天井で金が使える売り掛けによって女性たちが多額の借金を背負い、その返済のために風俗で働いたり売春行為をしたりしているという実情がある。そのため、高額の売り掛けに対する規制を求める声が多く上がっていたが、法律関係者からは「代金の後払いは飲食以外の契約でもふつうに使われているもので、売り掛け制度に違法性はない」との指摘があり、自見英子消費者担当相も「現行の消費者契約法で(売り掛け禁止を)規定することは難しい」との認識を示した。

 今回の周知文は、現行法では売り掛け制度の規制が困難であることから、消費者庁が既存のデート商法に関する規定で悪質なホストクラブをけん制した格好といえそうだ。