◆娘には幸せになってほしいが、待ち受けるのは厳しい現実ばかり

「娘とは他愛のない世間話はできるけど、本当にしなければいけない話はまったくできていません。私も夫もいつまで生きられるかわかりませんし、一人っ子だから頼れる兄弟もいない。40歳という年齢を考えると結婚も現実的にはかなり難しいでしょう。

 主人は娘が将来なるべく困らないようにと74歳の今も体に鞭打って駐車場の警備員の仕事をしています。老後は旅行でもしながらのんびり暮らしたいと思っていたのですが、どうやらそれは無理そうです」

 親も本人もこのままではダメだと理解しているようですが、一方でどうすればいいのか身動きが取れなくなっているのも事実です。

 今年5月、厚生労働省は高齢化や長期化が進むひきこもり問題に対処するため、初のマニュアルを策定する方針を固めました。実態が見えにくいからこそ国や自治体が主導して支援の枠組みを作っていくことが必要なのかもしれません。

―シリーズ「令和の親・令和の子」―

<取材・文/トシタカマサ>

【トシタカマサ】

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。