2人は結婚し、エバは大統領夫人となるが、貧しい人のための経済援助や婦人参政権を実現させる。こう書くと素晴らしいが、富裕層から税金をたくさんとって、貧しい人にバラまくというむちゃくちゃな政策であったため、アルゼンチン経済は急激に悪化していく。しかし、これまで貧しい人のための政策を打ち出す政治家がいなかったことから、同国内でのエビータの人気は今も絶大だ。

 エビータを取材したことのあるアメリカ人ジャーナリストは、彼女について「忘れるとか許すことのできない女性」というメモを残している。褒めるニュアンスの言葉ではないし、やり方も褒められたものではないが、手段はともかく、忘れない、許さない気持ちがあるからこそ、大統領夫人となっても、貧しい人のために働けたのだと思う。

 コジータ、あなたも一緒。あなたの魅力は、忘れない、許さないところ。5年後くらいに、「夫のことを許したと言ったのに、またねちねち言い出すこと」を期待しています。

 さて、長きにわたり、お付き合いいただいた本連載ですが、今回で最終回となりました。これまで読んでくださった方、ありがとうございました。どこかでまたお会いしましょう!