◆温厚な夫の堪忍袋が切れて家事をひとりでやるハメに…
そんな生活が2ヶ月ほど続いた、ある日。夫婦関係にヒビが入る出来事が起きてしまいました。
その日、波子さんは夫が掃除したお風呂をチェック。排水溝に髪の毛が2~3本残っているのが気になり、「完璧に綺麗にしてよ」と航さんに言いました。
すると、航さんは今まで聞いたこともないような大声で「うるさいんだよ!」と激怒。波子さんがあっけに取られていると、航さんは続けて、「自分は何もしないくせに、いつもうるさいんだよ!やってもらってる分際で文句言うなよ。まずは、ありがとうって言うのが筋だろ。完璧にしろって言うけど、お前のルールに、なんで合わせないといけないんだよ!」と怒鳴り散らしました。
自分のダメ出しが、これほどまでに大きなストレスになっていたとは……。そう驚き、波子さんは謝罪。しかし、一度生まれた亀裂は埋まらず。航さんは「今後、僕は一切、家事をしない。お前が全部やれ」と宣言。波子さんは夫に頼り切っていた家事を、ひとりでこなさなければならなくなりました。
「実際に自分でやってみて、家事の大変さがよく分かりました。夫は喜んでほしい、楽をさせてあげたいという気持ちで無理をしてまでもやってくれていたのに、私はその優しさに気づけませんでした」
この一件以来、波子さん宅では夫婦の立場が逆転。渉さんは、これまで波子さんがしていたように家事の粗探しをし、「ぬくぬくと育ってきたから、こんな簡単なこともできないんじゃない?」と罵ってくるそうです。
航さんほどの豹変とまではいかなくても、相手が楽できるように……と、家事を行ってくれているパートナーの気持ちを考えないと、思いもよらぬ結末が待ち受けていることはあるもの。やってくれたという事実に対して「ありがとう」と伝え合える夫婦になっていきたいものです。
<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291