◆暦とマーケティングの意外な関係

『あたらしい時代の開運大全』(ダイヤモンド社)
『あたらしい時代の開運大全』(ダイヤモンド社)
 江戸時代、暑い夏の日にうなぎが売れないと嘆くうなぎ屋から相談を受けた平賀源内(ひらがげんない)が、うなぎを売るためのマーケティングとして、「土用の丑(うし)の日」を活用。「精をつけるには、土用の丑の日にうなぎを食べよう」と掲げたことで、土用のうなぎが定着したというマーケティングのエピソードは有名ですよね。江戸時代には暦がとても流行っていたのです。

 あまりにもいい加減な暦までも大量に出回ってしまったため、明治政府に禁止され、その後はあまり日の目を浴びなかった暦による吉日。

 最近再び脚光を浴びるようになった理由もまたマーケティングです。一粒万倍日や天赦日は、宝くじのマーケティングのために古い暦から掘り起こされた吉日なんです。

 これに便乗して、さまざまな業界が「新しい財布を買うのは一粒万倍日がベスト」「結婚式の日取りは天赦日が最適」などと、いわば乗っかってくるようになったのです。

 これらの吉日も、もともとは九星気学の理論に基づいていますから、まったく根拠がないものではありません。しかしその由来にはあやふやな部分も多く、効果も定かではありません。

 どちらかというと、「バレンタインデーにチョコレートを贈る」「節分に恵方巻きを食べる」などに近いイメージで、効果ゼロではないけれども、商売のために仕掛けられた吉日という側面が強いのです。

 そう考えると、こうした吉日に踊らされることが少しむなしくなりませんか。