◆農業をはじめて良かったこと

――本格的に農業を始めて良かったと感じる瞬間はどのようなときでしょう。

高橋:自分自身が自然の中の一部なんだと思えたことですね。今日一日を元気に過ごせたら、それで十分だなぁって。野菜やお米を作るのってけっこう大変なんですよ。田畑を耕して種まきをして、草刈りをして、虫や猿や猪と戦って。

ここまで一生懸命手をかけても、台風や災害には勝てないこともあります。でも、自然が相手だからこれも仕方のないこと。できないことやあきらめないといけないこと、そういうことも受け入れられるようになったと思います。

――自分も自然の中の一部なんだから、完璧にできなくて当たり前ということですね。

高橋:昔はもっと完璧主義なところがあったんですが、農業を始めてから「無理矢理にでも歌詞を明日までに仕上げなきゃ」などと、必要以上に自分を追い詰めることがなくなりました。

農業を通じて時間の流れを大きな括りで考えられるようになり、それも気持ちの余裕につながっています。農業までいかなくても、植物を育てるだけでも、見えてくるものが変わってくると思います。