ロックは世間の常識にあらがうための武器だと、ずっとそう思ってきた。でも、ロックはもっと大きくて、ずっと深いものらしい。そう教えてくれたのは、福岡出身のロックバンド「シーナ&ロケッツ」の鮎川誠とシーナだった。2人の生涯を追ったドキュメンタリー映画『シーナ&ロケッツ 鮎川誠 ~ロックと家族の絆~』を観て、ロックにはつまらない常識を否定する力以上に、生きることを肯定する強く、深い力があることを知った。
1978年に結成されたシーナ&ロケッツは、不思議なバンドだった。九州大学を卒業した長身のギタリスト・鮎川誠は、ブルースロックバンド「サンハウス」として一度デビューしており、30歳での2度目のデビューだった。その妻・シーナは女性ヴォーカルの先駆者で、デビュー時すでに2児の母親でもあった。
歌謡曲とアイドルソングしか知らなかった自分は、『夜のヒットスタジオ』『ミュージックフェア』(フジテレビ系)に出演したシーナ&ロケッツに驚いた。彼らが歌う「ユー・メイ・ドリーム」が、あまりにも異質な音楽だったからだ。
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