元外務審議官の田中均が、もしトラとこの国の政治の現状を語っているサンデー毎日から。

 田中は、アジア大洋州局長時代に北朝鮮と水面下で交渉して、2002年に小泉純一郎首相(当時)の訪朝を実現させている。

 彼の見方には、私も頷くものがある。少し長いが紹介してみよう。

「振り返ると1900年代は冷戦終焉、バブル崩壊を背景に、時代の要請を受けた大きな政治改革の波があった。93年に非自民連立政権が誕生し、94年には自社さ連立政権ができた。自民党の中から離党してでも体制を変革、世直しをしようという政治家が澎湃として出てきた。それから30年、今自民党を割るなんてことは誰も考えていない。それでいいのかと言いたい」

「神の配剤か、自民党という政党の賞味期限切れは、裏金問題で目に見える形で出てきたものの、これをもっと大きな政治改革につなげるべきだと思う。その意味ではメディアの報道姿勢に物足りなさを感じる。政倫審でどうなる、次に衆院補選でどうなる、と自民党政治のペースに乗せられた現象面の報道に終始し、今が大きな変革期にあるという時代認識や大局観のある分析が欠けている。本質的に自民党的政治を変えなければならないという時点に来ているのにそういう観点で政治キャンペーンを張っているメディアがない」