車窓からの絶景
車窓からの絶景は綾香さんのお気に入りでしたが……(写真:本人提供)
飲み会の最中に手をつないでくる男性が普通にいてセクハラが横行しているし、手を握るぐらい笑って返そうよという雰囲気でした。

産休の制度はあったけれど、利用した女性社員が誰もいなくて、女性は結婚したら辞める雰囲気でした。そうでなくても、優秀な女性より、年功序列でボーっとしている40代男性社員の方が出世するので、女性は辞めちゃうんです」(綾香さん、以下「」内同)

どうやら彼女がいたのは、30~40年前の感覚のまま止まった社会だったようです。

◆うわさ話が大好きな人たちは、いつも他人のことを詮索

綾香さんが違和感を覚えたのは企業体質だけではありません。会社の外でも、初対面で「結婚してるの? 子どもはいるの?」と聞かれるのは当たり前。首都圏で暮らしていればあまり経験はしないことですよね。

当時綾香さんは、親しい取引先の人と食事をする機会がありました。その場に、綾香さんと同じ20代の地元農家の長男が連れて来られたことがあったそうです。

「今思えば、お見合いのようなものだったのかもしれません。でもその農家の長男、会食の場で『◯◯ホテル(ビジネスホテルチェーンの名前)は風俗嬢を呼べないからさ』とシモネタを言ってたんです」

こういうレベルのシモネタを女性の前で言う男性は、割といたそうです。首都圏でのできごとならドン引きでしょう。

北海道の絶景
休みの日には足を伸ばして絶景を楽しんでいました(写真:綾香さん提供)
綾香さんが暮らしていた街は人が歩いているだけで誰かに見られ、「綾香さん、〇〇にいたでしょ」と言われることもあったとか。「〇〇の奥さんが浮気をした」「〇〇さんのところは死産だった」「あそこは離婚して娘が出戻りだ」こんなうわさ話が当然のように流れるのだといいます。

周りには、ウィンタースポーツ、狩猟、パチンコ、飲み会が趣味といった人が多く、どちらかといえばインドアで文化的な趣味を持つ綾香さんは、話の合う男性にあまり出会えなかったそうです。気配りができる素敵な男性はもちろん田舎でもいたものの、そうした男性はほぼ例外なく結婚していました。