シリーズ作品全体を監督するのは初でしたね。映画作品とシリーズ作品ではどう違いましたか。
キュアロン:僕はシリーズの作り方を知らないから、映画を撮る時と同じようなスタイルだったよ。従来のシリーズ作品だと、物語ごとに異なる監督を起用することもあるけど、でも今回はアップル社が僕に、映画のようなアプローチでシリーズ作品を作る貴重な機会をくれたんだ。
キュアロン:だから制作プロセスとしてはさほど映画と今回のシリーズに違いはない。ただひとつ違うのは映像の長さだよ。いつもは2時間の作品なのに今回は合計7時間くらいあるよね。僕は映像作品を入念にゆっくり映像作品を作るから、今回は疲れ果てたよ…。
長時間の映像作品を作るにあたってもっとも苦労したことは何でしょうか。
キュアロン:常に困難はあったよ。 感情の変化も(映画より)ゆっくりなテンポで描くことになるから、感情への寄り添い方には気をつけなければならなかったし、描いた要素はすべて最終的に意味のあるものにならなければならない。
キュアロン:中でも困難かつ大切だったのは、「観客に嘘は絶対につかない」ということ。ケイトもこれにこだわってくれたよ。映像の中には一度も嘘がないんだ。初めてこの物語を追う時、観客はそれぞれが異なる想像や予想を思い描きながら観て、最後にすべての真実を知ることになるから、途中までの解釈は観客によるはず。だけど、すべて知った後にシリーズを2周観てくれたら、「一度も嘘は描かれていない」ということが明確にわかるはずだよ。