「全然わからない謎vs優秀な探偵である興玉さん」という構図が「神vs神の空中戦」にすり替わるダイナミズム。実に気持ちよく騙されました。

■スケールがでかくなる

 このドラマが第4話までに作ってきたミステリー劇は、それ単体としてもよくできたものでした。トリックにも説得力があったし、犯人たちの心情も理解しやすく、かつ感動的に仕上げてきていた。

 今回、こういうどんでん返しが用意されていたことを考えると、ここまで科学的に解決されてきた謎解きは全部、本筋とは関係がなかったということになる。本筋とは関係のないものが個別に、精密に作り込まれていたことによって、本筋だと思わされてきた。

 クオリティとして、単話で成立するくらい作り込まれてきたものが全部今回に向けてのフリだったことが明かされて、作品のスケールがでかくなってるんですね。このドラマに費やされている「脳みその質量」みたいなものの、それが全部だと思っていたら一部だったということが見えてきた。全領域異常解決室が、さらに領域展開してきたわけです。

 安パイを捨てて危うい領域に足を踏み込んできたと感じるし、おもしろく終わってほしいと願わずにはいられません。がんばれ、作ってる人の脳みそ。

(文=どらまっ子AKIちゃん)