うへぇ、一気に持ってったな、という感じですな。
ドラマ『全領域異常解決室』(フジテレビ系)も第5話。この作品は、ものすごく頭がよくて知識も豊富な興玉さん(藤原竜也)という人間が、「ヒルコ」を名乗るサイコな犯罪者が裏で糸を引くさまざまな事件を科学的に暴いていくという建て付けでスタートしました。
謎のUMA「シャドーマン」や妖怪「縊鬼」といった人知を超えた存在による仕業だと見せかけられたオカルトじみた事件が、実は人間が頭で考えて作ったトリックだった。そういう解決に爽快感を求めるミステリーだと、視聴者に誤認させてきたわけです。
第1話と第2話は、やっぱりオカルトなんて存在しないというニュアンスで作られています。第3話では「タイムホール」が実は存在するかも? 存在してもいいんじゃない? という、少しだけロマンを感じさせつつも、やはり結局、だいたいの不思議な事件は科学で解決できちゃうということを言っている。
前回の第4話では、単なるデリバリー役だと思われていた解決室のメンバーが実は人知を超えた特殊能力を持っていることが明確に語られ、このあたりでリアリティーラインの引き直しが図られています。オカルトが「あるかもしれないけど、基本的にはない」という世界観から、「ある」に明確に切り替わっている。
そして今回の第5話のラストでは、主人公の興玉さんが言うわけです。
「僕も、神です」
神だったみたい。振り返りましょう。
■フリがフリのまま昇華していく
今回、ヒルコが起こしたのは都内の4カ所に爆弾が仕掛けられたという連続爆破事件。ヒルコは例によってテレビ局に犯行声明文を送っていますが、爆弾を仕掛けた場所は明かしていません。
しかし、ヒルコの犯行声明が出た後、必ず警察に電話をかけてその場所を知らせてくる人間がいる。それによって爆破は未然に防がれているという状態です。
5回目の犯行声明は府中のスタジアム。興玉さんたちが現場に駆け付けると、近所で薬剤師をしている女性・ミチ(星野真里)が居合わせた女の子を救助していました。なぜかミチは爆弾の場所を知っていたし、防犯カメラの映像を確認すると、警察に電話でその位置を知らせていたのもミチだった。