自らワクワクドキドキする道を開拓

 年を重ねるごとに一年があっという間すぎるとは、誰しもが聞かされてきた言葉だろうが、あれは本当だった。ついこの先日まで暑かったと思えば、気がつくと秋も深まり、もう今年も残すところわずかではないか。こうやって人生は終焉を迎え、人は朽ち果てていくのだろうか……たわけ!たわけ!である。今から幕が上がるのだ。黄昏れている場合ではないだろう。

 この原稿が配信される頃、私も登壇し、挨拶をした放送前日のプレミアムイベントを終えて、いよいよ 『インフォーマ-闇を生きる獣たち-』がABEMAで放送される日を迎えている。

 大人になってから、ワクワクドキドキできる瞬間を何回迎えることができるだろうか。明日が楽しみでなかなか寝つけないなんていう夜を何度過ごすことができるだろうか。活字の世界というのはすごく地味で、お金になんて大してならない。それは作家のような書き手ならば、誰もが痛感していることだろう。

 その現実をまざまざと見せつけられ、筆を折った書き手もたくさんいる。だが私は違った。今もこうして書き続けている。小説家になると決意してから、一度もその想いは揺らいだことがない。私は筆一本でここまでやってきて、書くだけではなく、その過程の中で自らで進む道を開拓してきた。ドラマやマンガにもなった『インフォーマ』のマルチ展開もしかりである。だからこそ、こうして今でもわくわくドキドキできる瞬間を味わうことができているのだと思う。
 
 書くことなんて、物語を生み出すことなんて、1行目から誰だって辛い。そこにプロかアマチュアとかなんて関係がない。作家だから小説家だから書けるのではなく、肩書に特殊能力なんて備わっていない。それでも物語を書き続けていくのである。

 正解やゴールなんて初めから存在しないのだ。終われば、また書き始める。単調な繰り返しの中で、筆を磨き続けていかなければ、自分の代わりなんていくらでもいる世界では生き残れない。