プロデューサーとして多岐にわたった仕事
想像するだけでも感動的です…。そんな名だたるスタッフと同じく、今作には複数のプロデューサーがかかわっていますね。プルスさん自身が特にこだわった思い入れのある部分はどういったところでしょうか。
プルス:うん、1作目からプロデューサーを務めるダグ(ダグラス)・ウィックに加え、僕とルーシー・フィッシャーも今作では加わったけど、チームはこんな偉大な作品の続編にあたたかく歓迎してくれて本当に嬉しかったよ。プロデューサーの仕事に明確な定義はないから、僕ら3人は映画に関するさまざまなことをたくさん話し合った。どのように映画づくりをやり遂げるか、すべてを管理しなければならないんだ。
プルス:でも中でも特に思い入れが強いところを語るなら、脚本部門かな。すばらしい仕事だったよ。リドリー、ダグ、ルーシー、脚本家のデヴィッド・スカルパと一緒に部屋に座り、コーヒーやレッドブルを飲みまくりながら、「ああでもないこうでもない」ってずっと話し合ったんだ。頭を抱えて「全然先に進めないぞチクショー!」なんて嘆いたこともあったよ(笑)。でもそうして完成させたストーリーはまさにファンタスティックなものだった。もちろんキャスティング・ディレクターのケイト・ローズ・ジェームズにも感謝しなきゃね。
プルス:たくさんの試練もあったし苦渋の決断だってした。「果たしてこれは正しい決断か?」って迷ったりもしたよ。プロデューサーの仕事はそんなことばかりで複雑だ。でも出来上がったセットをリドリーと歩いて、「すごいや、ローマの市街地がそっくりそのまま再現されているじゃないか」なんて感動した瞬間は忘れない。プロデューサーとしては予算の問題だって悩みの種だけど、リドリーのイマジネーションが具現化された巨大なセットを見て、「これで世界中の人々を楽しませるんだ」って実感したあの気持ちが、プロデューサー業の醍醐味だと思うよ。もちろん『ナポレオン』だって大興奮したけど、今回はよりいっそう「次元が違うぞ」って思ったね。
今作では音楽も非常に重要な役割を果たしていましたね。前作の音楽の雰囲気を継承しながらも独自性も感じ、前作のテーマメロディはここぞという時にしか使わないところにこだわりを感じましたし、前作のメロディの使い方には鳥肌が立ちました。音楽についてはいかがですか。
プルス:いまや僕の良き友人となったハリー・グレッグソン=ウィリアムズは、世界最高の作曲家のひとりだよ。1作目の(ハンス・ジマーによる)アイコニックな音楽の後という責任重大な仕事を引き受けた彼は、膨大なタスクをこなしてくれた。1作目の偉大な音楽を無視することはもちろんできないけど、その一方で僕らは、ハリー自身のアイデンティティもしっかり感じさせてほしいと望んだんだ。結果的に、彼の音楽はどれもリスペクトにあふれ、美しく、それでいてハリー自身の音もしっかり息づいていた。すばらしい作曲家だよ。