◆荷物の爆発が連続し、日本中が震撼
いまや誰もが当たり前のようにネットのショッピングサイトを利用している。むしろなくては成り立たない。その世界的大手・デリファスから発送された荷物が爆発した。クリスマスを前に商戦が盛んとなる11月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜のことだった。
爆発はひとつではなく、連続して起こる。いつどこで荷物が爆発するか、日本中が震撼する。じつにこわい。
ブラックフライデーに合わせてフル稼働していたデリファス巨大物流倉庫の関東センターでは、エレナと梨本は共に事態の収拾に立ち向かう。
ほか、サイト商品の運搬を担う運送会社・羊急便の関東局局長(阿部サダヲ)や現場で働く羊急便の委託ドライバーたち(火野正平、宇野祥平)、デリファス日本支社の統括本部長(ディーン・フジオカ)や荷物を待つ家のシングルマザー(安藤玉恵)と子どもたちなどが事件に翻弄されていく。
そこに、先述した『アンナチュラル』と『MIU404』チームが交差する。さらに公開日まで伏せられていたサプライズ出演者もいて……(ここでは一応伏せておく)。
◆主演ふたりは現場を俯瞰して見る立場であることがポイント
よくぞ大渋滞にならずに2時間9分に纏(まと)めたと感心するし、主演の満島と岡田は、俳優として華もテクニックも人気も一流な共演者たちに断じて埋もれてはならない。その重責に、満島ひかりと並び岡田将生は見事に応えていたと思う。
満島ひかり演じるエレナはエリートでおしゃれで業務優先だけれど、どこか抜けている感じのところもある。梨本は岡田将生が演じているからシュッとしているけれど、上司のエリナに振り回されて辟易(へきえき)している演技などもさりげなく見事であった。
この手の映画は、現場で働く庶民と現場を足で捜査する刑事など労働者側が観客の代弁者としてメインに据えられることが多いが、『ラストマイル』のふたりは管理職側のほうで、現場を俯瞰(ふかん)して見る立場であることがポイントである。