舞台挨拶には参加していないが、『アンナチュラル』からは窪田正孝、竜星涼、飯尾和樹、吉田ウーロン太、薬師丸ひろ子、松重豊が出演し、『MIU404』からは橋本じゅん、前田旺志郎、金井裕太、永岡卓也が出演している。出演者が多過ぎて、満島と岡田の話題になかなかたどりつけないが、もう少しお待ちを。
映画やドラマでカメオ出演として、著名な俳優がほんの短い時間、参加する仕掛けがあるが、『ラストマイル』の場合、すでに確かな物語を紡(つむ)いできた役柄としての登場なので、出番が多少短くても、彼らが何を思って仕事に従事しているか伝わってくる。
警察も病院も物流会社の社員たちもマンションに暮らす人たちも、みんながそれぞれの生活があって思いがあって、それが繋がって成り立っているという世界の仕組みがこれほどわかるやり方もないであろう。
◆「物流が止まると大変」という監督の発想から
『MIU404』で道路網が東京の各地(ひいては日本中)を繋いでいることを可視化させていたが、『ラストマイル』では物流網が人間の身体のなかに流れる血管のようだ。
「物流が止まると大変」という発想からこの企画を提案したのは塚原監督で、野木亜紀子が出演者というピースの多い難易度高いジクソーパズルのような脚本を書き上げた。労作である。
2本のドラマを見ていなくても楽しめないわけでは決してない。中心は、新たに設定された巨大物流会社DAILY FAST(通称:デリファス)とそこで働く人たちだからである。
おまたせしました、満島ひかりは、デリファス巨大物流倉庫の関東センターのセンター長・舟渡エレナ役で、岡田将生はチームマネージャーの梨本孔役を演じている。
エレナはエルメスのバーキンを持つおしゃれでバリバリの働き者、梨本は転職入社の2年めで、仕事は粛々(しゅくしゅく)とこなすがエレナと比べるとテンションは高くない。