TBSの『あらびき団』は、バラエティにおけるネタ番組の概念を変えた番組だった。レギュラー放送は2007年10月から11年9月までの丸4年間。その後も定期的に特番として放送されているが、ステージ上で披露されるネタにCGで合成されたMC・レフト藤井(藤井隆)とライト東野(東野幸治)がツッコミを入れるスタイルは当初から変わっていない。
『あらびき団』がスタートした07年ころは『エンタの神様』(日本テレビ系)の最盛期。『エンタ』はスタッフが自らライブに足を運び、多くの知られざる芸人を発掘したことで知られている。一方でネタ中の過剰な説明テロップやスタッフによる芸人へのネタ変更指示など局側の意向が前面に押し出される演出で、一部のお笑いファンからの批判の声も少なくなかった。
そんな『エンタ』への「出演者を養成する」という『あらびき団』の当初のキャッチフレーズは、多分に皮肉を含んでいた。無名の芸人たちのネタは『エンタ』に比べれば洗練されていない、というより成立していないとも言えるものが数多く採用され、ネタ中に容赦なくツッコむ藤井と東野のフレーズ芸も含めて楽しむという番組スタイルが確立していき、そのスタイルは現在放送中の『千鳥のクセスゴ!』(フジテレビ系)というフォロワーも生んでいる。
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