──得意という話だと、分析して構造を理解すること、それを台本に落とし込むことと、舞台の上で演じることとは全然違う能力だと思うんです。令和ロマンには魔人無骨(旧コンビ名)のころから「上手い」「漫才師然としている」という印象があります。その実行力というのは、ご自身ではどう分析されているんでしょう。

くるま そのころはあまり意識してなかったんですけど、「正解を出すパターン」でなぜ実行に移せる人がいないかと考えると、器用な人がそれを考えていないからなんですよ。僕たぶん、人間としては不器用なんですけど、漫才師としては演技力とか表現力があるから、実行できるんです。その形になり切るということができる。表現力が乏しいことも個性だったりするんですけど、みんなはあまり自分から外れたことができないんです。だから、これが正解だとわかって寄せにいっても無理が生じる。僕の場合は何にでもなれる。コントの役もそうですし、しゃべるときのトーンとか顔もそう。衣装も含めて、そこのトータルプロデュース力は、そもそも持っていたというイメージですね。

──それは訓練して身に着けたものではない?

くるま それだけは、才能だと思ってました。演技力に関しては、ちっちゃいころからずっとドラマのマネとかしてたんで。プラス、吉本でいっぱいライブに出て上手くはなりましたよね。いろいろ教えてもらえたし。

──本の中で、去年はファイナルに出たことがなかったから「ネタを叩く」ということがわからなかったとありました。いざ優勝して、今年は「叩く」ということについて、どんなふうに考えてやってるんでしょう。

くるま 決勝を知ったので叩き方はわかったといえばわかったんですけど、優勝しちゃったことによってライブのお客さんの見る目とか、出る場所が違うから、今年がいちばん叩けてはいないですよね。実際、絶対にオレらのお客さんが来ちゃうわけだから、ムズイです。あんまりアウェーがなくて。