──対談してみて、何か新しい発見はありましたか?
くるま 粗品さんが、やっぱり自分の「きれいに逆」なんだということがわかって、気持ちよかったですね。粗品さんは「自分」という軸があって広がっていく人で、オレは逆に世界のいろんなものを自分の中に取り込んでいく側の人間なんで、改めてすごいと思ったし、そういう人が成功していくんだと思ったんです。だから今は、こういう本を書くような後輩を一人も生み出さないようにしたいという気持ちでいっぱいですね。予備軍みたいな人がいっぱいいるんですよ、考えようとしているやつが。でも結局、そういうやつらは残らないんです。だから、ダメだよって言いたい。
──なぜ残らないんでしょう。
くるま 他人の影響を受けて、全部の要素を入れて、分析してってやっていくと、答えってそんなに種類がないじゃないですか。正解を出したとて、正解は別に個性ではないし。芸人の場合は間違ったことでもやり続けていたら、変な、突飛なことになるわけですよ。錦鯉さんとかウエストランドさんとか、現在進行形で最近はずっとそういう人が勝っているし、テレビにも出てるし、突き抜けてる。「突然、あれ」でいいんです。ああいう人間が結局、残るんで。特に吉本の僕らより下の世代は、みなさんピンとこないと思うんです。あんまり言われないんですよ、後輩のことって。
──そうですね、金魚番長とか。
くるま ああ、ありがとうございます。金魚は一個下ですけど、いい感じで毒されてないじゃないですか。今はきれいに『M-1』を目指しすぎてる人も多いから、そういうのも全部やめさせたい。「くるまさん、どうやったら3回戦行けますか?」って、聞かれたら答えますけど、そういう分析キャラは無理だよっていう、キャラ潰しみたいなところもありますね。
──ご自身は、情報を集めて整理して正解を出す能力においては、誰よりも自信がある?
くるま それしかやってこなかったんで。自分としては恥ずかしいことだと思ってます。自分がおもしろいと思ってることを「ウケなくても関係ねえや」ってやるのがカッコいいし、そうなりたかったですけど、全然思いつかなくて。でも『M-1』は始まるし、ウケたいからそうやって作るんですけど、準々決勝で毎年負けて、「そうだよな、芯がないもんな」って毎年落ち込んで、その繰り返しでした。それをずっとやってきて、そのくせ準々とか準決まで行けてたので、それは得意なんじゃないかと思います。