そのいじめのやり方も、「段ボール箱に入れてガムテームでぐるぐる巻きにした」「うんこを食べさせた」という陰惨なものだったため、SNSを中心に彼への批判が巻き起こり、ついには五輪から辞任することになった。

 だが、現代でノンフィクションライターの中原一歩は、小山田はいじめの当事者ではなかった可能性がきわめて高いと書いている。

 スキャンダルが報じられた当時、当事者の小山田は一切の取材を拒否していたが、それは、取材を受けることができる精神状態ではなかったからだったという。

 そこで中原は、いじめの舞台になった中学校の同級生たちを探し出し、小山田のいじめを見聞きしたことがあったかを聞いて回ったそうだ。

 そうすると、いじめはあったが、それは小山田とは別の同級生で名前も特定することができたというのである。

 その後小山田をインタビューすると、彼は「あのインタビューには事実ではないことが書かれており、長年そのことに悩んでいた」と打ち明けたという。

 中原はこういう。

「最大の過ちは、炎上を報じるメディアの側が、あの雑誌の内容は正しいのか事実確認をしなかったことだ。もし、炎上の段階で独自取材を重ねていたならば、結果は違っていた可能性が高い」

 中原のいうことは正論ではある。だが、自分は関与していないのに、あのような非道ないじめを雑誌のインタビューで自らなぜ語ったのか?

 もし、小山田が、自分はそんなことはいっていないとすれば、悩んでいないで、すぐに雑誌(『ロッキング・オン・ジャパン』と『クイック・ジャパン』の2誌)に訂正削除をさせるべきではなかったのか。

 雑誌側の全くの捏造なら、騒動になった時に、なぜ雑誌側を訴えなかったのか、疑問は残る。

 もちろん、メディア側に非がないなどというつもりはないが、小山田の側にも非がなかったのか?

 そいう意味では、もう一度この「事件」を再取材する必要はあると思う。

 さて、また巨額の詐欺被害が発覚した。新潮が、