与党が選挙で負けたのは自業自得だが、逆転が起きやすい状況だったのは間違いないようだ。時代によって移り変わるのが選挙戦で、近年は戦略がより細かくなっているという。

「絶対に必要なのはSNS対策です。選挙期間中は思わぬところから批判の矢が飛んでくるもの。選挙カーが駐停車禁止区画に車を停めていた、運動員がポケットに手を入れていた、ビラ配りが邪魔だったといったことがSNSに投稿されれば、バズってしまう可能性がある。学校や病院の前を通る際にスピーカーのボリュームを下げたり、対立候補とすれ違う際に『お互いに頑張りましょう』とクリーンファイトを呼びかけるのもすっかりお決まりになりました。SNSでネガティブ情報が上がったらすぐに対応が必要ですし、応援メッセージにお礼を言うのも大事な作業。街で名前を連呼する伝統的な作業と、ネットを使って票を誘導する二方面作戦が必要になっています」(週刊誌記者)

 ネット上の騒動や政治家の発言を長年ウォッチしてきたライターの中川淳一郎氏は、今回目立った候補者の“ネット活用”について、「庶民派アピールと、拡散を見越した“迷惑行為”」だったと振り返る。

「ネットを使った選挙運動が解禁されたのは2013年7月の参議院選挙。あれから11年、各候補者はSNSを駆使した選挙活動を展開していますが、今回多かったのはB級グルメリポートとネットで話題になることを計算に入れた妨害でしょう。『裏金議員』の一人である萩生田光一氏は地元・八王子市で連日庶民派な食べ物を食べたことをXでアピール。ラーメン、町中華、後援会が作った弁当などを次々と披露。選挙期間以外にもこれらのメシを紹介しろ、とのツッコミも寄せられました。

 河野太郎氏の街頭演説にあたっては、『ワクチン被害の責任とれ』と書かれたボール紙を掲げる人や、同氏を非難する幟(のぼり)を出す人も登場。音喜多駿氏の演説にも反維新の集団が訪れると、同氏の車には『END維新』のステッカーが張られ、さらには同氏は突き飛ばされて負傷したと報告。この件については集団がXに参加を元々呼びかけていました」