まひろは、何かあると沈黙してしまうタイプなので、道長が「お前にだけは伝わっておると思っている」といわれた時も何も言い返せませんでしたし、敦康親王(片岡千之助さん)からの品を届ける使者として登場した清少納言(ファーストサマーウイカさん)が、彰子の御前であるにもかかわらず、言いたい放題で去っていった場面でさえ一言も発せぬままでした。
思い出せば、一条天皇(一条院)が崩御した前々回なども、まひろのセリフがほとんどなかった気がするのですが、もうちょっとヒロインとして頑張ってドラマを引っ張っていってほしいなぁ……などと思ってしまいます。
道長から黒幕っぽい印象を弱めるためにドラマで用いられそうなのが三条天皇で、陰陽寮に選ばれた「吉日」が亡き一条天皇(一条院)の四十九日の当日だったにもかかわらず、内裏に入る計画を延期しないと即答しており、たしかにこれは史実でもあるのですが、ネットのSNS上では道長以上に三条天皇の強引さに反発が集まった印象があります。
ちなみに平安時代でも四十九日までは集中的に法事が執り行われ、故人の魂が迷わないように祈念されました。四十九日が当時の言葉では「七七日(なななぬか)」といわれ、法要の一区切りなのです。
それからも一定期間、故人の周辺は「鈍色(にびいろ)」と呼ばれる青っぽい灰色の喪服を纏うことで弔意を示し続け、部屋の中の調度品の色も黒を基調とし、御簾の色でさえもわざと太陽光に晒して脱色した白っぽいものに変えていたそうですね。それから、徐々に普段通りのインテリアや装束に変更していったと考えられています。
平為賢が立ち向かった女真族の海賊
さて、2012年に放送された平安時代末期が舞台の大河ドラマ『平清盛』と比べて、武士の存在をまったく描こうとしない特色があった『光る君へ』ですが、前回は騎馬姿の平為賢(神尾佑さん)が登場しました。平為賢はドラマの登場人物では藤原伊周・隆家兄弟(三浦翔平さん・竜星涼さん)と距離が近く、この二人が花山法皇(本郷奏多さん)を襲撃した「長徳の変」にも兄弟側の兵として参加していたようです。