――人を育てるって手間ひまかかるんですね!
軍神:指導って本来そういうものです。でもね、変にあれこれ聞かなくても、興味関心を持ってその人を見る、気に掛ける、それだけで全然違うと思います。その人の能力や成果に興味を持つのではなく、その人自身に興味を持てば情報は自然と入ってくるので。
◆相手を幸せにするための『利他褒め』
――『愛のハイエナ』では「短文で褒めない。根拠となる前提文を作ってから褒める」という褒めの技術がバズりましたが、前提文ってパッと思いつくものなんでしょうか?
軍神:あのときの前提文は、「ショートカットってかわいい女の子しか似合わないよね」でしたね。基本、前提の部分は原理原則をそのまま言えばいいです。「これはこういうものだよね」っていう部分。かわいい女の子がショートカットが似合うのは原理原則ですから。「顔が小さい女の子しか似合わないよね」でもいいですね。これも原理原則。
軍神:でも、技術に走らなくても“褒め”には大事なポイントがあって。自分がいつも言っているのは『利他褒め』です。利他的に褒める。これは、「相手のために叱る」の逆で、「相手のために褒める」。そこを考えていったら褒めるポイントはいくらでも出てきますよ。
――『利他褒め』初めて聞きました。
軍神:自分が勝手に作った言葉なので、知らなくて当然です(笑)。お世辞ってその人に良く思われたいから褒める行為じゃないですか。その逆と思ってください。その人を幸せにするために褒めるんです。相手を肯定する褒め方、それが「利他褒め」です。
ショートカットの例で言えば、ロングヘアの人がばっさり髪を切ったとき、欲しい言葉は「ショートカットのあなたも素敵だよ」という肯定ですよね。こちらの好みや印象どうこうじゃない。その褒めは誰のためになっているのか? その人のためなんです。「似合うね」と言われたら嬉しいじゃないですか。嬉しいってことはそこで何かしらの生産性を生むんです。たとえば笑顔とか。気分がよくなるっていうことも生産性ですよね。