余計なお世話だが、母・ゆき子(西田尚美)はなんだってこの人を選んだのか。まあ離婚したのだからそういうこととは思うが、基春はことごとく夏の期待に応(こた)えない。「写真趣味だったんですか?」と夏が聞くと「趣味は釣り、競馬、麻雀」と返す。「(釣りや競馬や麻雀)やる?」「やらないです」「おまえほんとに俺の子?」とどんどん距離は開いていく。
挙げ句、海の名前をへんな名前などと言う。当人の前で。あまりのデリカシーのなさに耐えられなくなった海は、大和(木戸大聖)を呼び出し、海をいったん預け、父とふたりきりになる。
大和がいてくれてよかった。ここは弥生ではないだろう(話が複雑になってしまうだろうから)。でも電話して大和が出なかったらどうするつもりだったのか。
◆離れていた実の父に会うのが悲しいシチュエーションである皮肉
ふたりきりになると、海も夏の子ではないだろうと、女性を悪く言う基春の無神経さに夏は思わず椅子を蹴って大きな音を立ててしまう。
いつもひたすら穏やかな夏が、あとで海にまで「こわい」と怯えられてしまうほどの激情を表に出すなんてちょっとショックではある。が、自分が父になってみて、実の父に会ってみようと思ったら、ひどい態度をとられたのだから無理はない。
離れていた実の父に会うということは、海と夏の状況を同じであり、それがこんなに悲しいシチュエーションであることは皮肉めいている。
「パパってあだ名みたいなものでさ、みんな違う人なんだよ」と大和は達観したことを海に語る。彼の場合は実母が亡くなったあと父・和哉(林泰文)が再婚して、母がふたりになった。いまの母ゆき子と仲は良いけれど、実母といまの母の呼び方をこっそり変えていて、彼には彼の葛藤があるのだ。
凹んだ夏は、弥生に父と会った話をする。彼女は親とうまくいってない経験者として理解を示す。そんな弥生をまた無用に傷つける夏(もはやコーナー化)。