物語はざっとこんな感じ。宮崎の静かな町で暮らす女子高生の岩戸鈴芽(CV:原菜乃華)は、「閉じ師」と名乗る青年・宗像草太(CV:松村北斗)と出会い、災いを起こす巨大ミミズを鎮める儀式を手伝うことに。イケメンの草太は物語序盤で呪いを掛けられ、三本足の椅子にされてしまいます。鈴芽は椅子になった草太と共に、その呪いを解くための旅に出るのでした。

 宮崎アニメによく出てくる「呪い」が主人公に掛けられ、また「天の岩戸」などの日本神話がモチーフとなっており、いかにも「ポスト宮崎駿」っぽさを感じさせる内容です。椅子になった草太に鈴芽が腰掛けたり、踏み台にしたりと、軽く変態要素が入っているところも、巨匠・宮崎駿の後継者だと感じさせます。

 鈴芽と草太が向かう先は、廃墟化した温泉リゾート、廃校になった中学校、閉鎖された遊園地……といった「昭和」時代に賑わった場所ばかり。そんな時代の流れに取り残された土地に篭っていたいろんな人たちの思い出が、どんよりと腐敗化して、災いを招いています。高度経済成長から半世紀、バブル崩壊から30年、日本各地に累積した幸せや夢の残滓を、お祓いするのが「閉じ師」の仕事のようです。