濱家自身も22年4月の『かまいたちの知らんけど』(MBS)で「あれがなかったら、ホンマ終わってた」「僕はあの1日なんです。そこでマジで変わった」と語るほどの転機となった。
また、マヂカルラブリーの野田クリスタルもかつては「トガリ」で知られる芸人だった。コンビ結成前のピン芸人時代には「ウケないことこそ正義」というモットーを掲げて地下ライブでスベり続け、初のファイナル進出となった17年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)ではネタ終わりに審査員の上沼恵美子を激怒させて上裸になるという奇行を披露。20年の『M-1』優勝後もバラエティ界に「警戒され」て、過去の『M-1』王者ほどの露出がなかった時期があると自ら明かしていた。
だが、21年の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で飲めない酒を飲んで号泣する姿を放送されたあたりから「イジっていい」キャラとして認識され、元来の知的で上品な姿が見られるようになった。地下時代を知っているファンからすれば、野田が数多くのCMに出演している姿など想像もできなかっただろう。
お笑いだけでなく、ドラマの脚本やエッセイ、小説などの執筆業でも高い評価を受け始めているAマッソ・加納。「愛され」の要素が加われば、さらなる飛躍は約束されたようなものだ。
(文=新越谷ノリヲ)