そこで名球会も一計を案じ、手を出したのが「特例枠」の導入だ。上原浩治と藤川球児は、共に200勝にも250セーブにも届いていないが、彼らは立派な名球会会員だ。
「プロ野球のあり方がどんどん変わり、投手の中には先発、中継ぎ、抑えと、いろいろなポジションで活躍する選手が登場。そういった選手も評価すべきという声が上がり、準ずる成績を残したということで、上原と藤川の入会が認められました。ただ、スポーツは数字が絶対。“準ずる”という魔法の言葉で特例が認められるなら、191勝で辞めた松岡弘、2000本まで100本足らずで辞めた井端弘和や谷佳知はどうなるのかという問題が出てきます。
それなら基準を下げれば良さそうですが、現会員たちとしては、名球会の価値が下がるようなことはやりたくない。だからといって特例を上原と藤川の2人だけにすれば禍根は残る。特例はどんどん適用範囲が広がりかねず、手を出してはいけない“禁断の果実”だったんです」(ベテラン野球ライター)
1勝や1本のヒットがどれだけ価値があるかは、彼らが一番理解しているはず。そもそも名球会には誕生時から胡散臭い経緯があった。