豪華な顔ぶれが集まった「花の16年組」

――高知さんが執筆した短編小説集『土竜』を読みました。自身の複雑な生い立ちに小説執筆を通して真剣に向き合い、また家族や友人の目線に立って自分自身を客観的に見つめていることが印象に残りました。

高知 ありがとうございます。そう言ってもらえると、本当にうれしいです。母親のことを僕はずっと嫌いだったんですが、『アロエの葉』という短編小説を書くことで、母親の若いころについて想像をめぐらして考え、母親は不器用なりに僕のことを愛してくれていたんだと気づくことができました。『シクラメン』は実際に僕が通っていた小中学校にいた女の子をモデルにして、少し世界観を足して書いたものです。子どものころから、ずっと気になっていた記憶を見つめ直したものです。小説を書いているときは思い出したくない過去も甦り、泣くこともありました。でも、小説を書くことで素晴らしい友人がいたことも思い出せましたし、「ごめんなぁ」という気持ちも自然と湧いてきました。それに、自分なりにがんばって生きていた自分をようやく許せることができたんです。
 
――同期の自助グループの顔ぶれ(元プロ野球選手の清原和博、元うたのおにいさん・杉田あきひろ、元NHKアナウンサーの塚本堅一)が豪華です。

高知 豪華と言っていいのか……。これも田中紀子さんが命名してくれたんですが「花の16年組」と(苦笑)。いや、でも、うれしいですよ。2016年に薬物事件を起こした逮捕者ではなく、「花の」と呼んでくれたことで、前向きな気分になれます。同期のメンバーで励まし合って、サポートしあっています。苦しみを分かち合えた仲間たちのためにも、支え合える場所はこれからもずっと温めておこうと思っています。それが自分自身のためでもあるんです。