担当医から「依存症」と言われても実感がなかった

――通称マトリ、麻薬取締官に逮捕された瞬間に「ありがとうございます」と言ったことがwikipediaなどに書かれていますが事実ですか?

高知 本当です。意識せずに口から出てきた言葉ですが、逮捕される1年くらい前から薬物を使う頻度が増え、「このままじゃヤバい。すべてを失うぞ」という意識はあったんです。でも、2人でやっていると、一方が「もうやめよう」と言っても「今までバレてないから大丈夫」みたいなことで、やめるタイミングを逸していたんです。それで、あの日を迎えました。忘れもしません。逮捕された瞬間は、「こんな形になってしまったけど、ようやくやめることができる」という気持ちと「すべてが終わった」という感情が入り混じり、「来てくれて、本当にありがとうございます」という言葉が出てきたんです。

――薬物はいつごろから使っていたんですか。

高知 高知から上京して間もない20歳くらいのころ、ディスコに通うようになり、VIPルームで回ってきたのが最初でした。でも、薬物はずっと使っていたわけではないんです。その後、芸能界に入ってからは10数年間離れていたんです。僕の場合、日常生活の中でガソリンのように覚せい剤を使っていたわけではなく、女性と遊ぶ中での快楽の道具のひとつとして使っていました。自助グループの仲間たちに言わせてば、それはそれでタチの悪い使い方だそうです。俳優業と並行してやっていたエステサロンの経営がうまく行かず、今から振り返ればそうした現実からの逃避としても使っていたんだと思います。