輸出企業のほうが国内への影響力は大
現地生産の企業は、現地の利益を現地子会社からの利子や配当として受け取ります。一方、輸出した企業は販売代金をそのまま受け取ることになります。
現地生産の場合、販売した企業にしか利益が還元されませんが、輸出の場合には、下請け会社などへ幅広くお金が行き渡ります。
最大の違いは設備投資でしょう。現地生産の場合は、設備投資は現地で行われますが、輸出企業の場合には設備投資は国内に向かいます。
何らかの形で国内にお金が入ってくるのは同じことですが、輸出型の方が、金額が大きく、お金が落ちる範囲も広いですから、国内消費への影響は大きくなります。一方、現地生産型は、お金が落ちる範囲が限定的です。
輸出の増減そのものは、株価にそれほど大きく影響しませんが、長期的に見て輸出が増えているのか減っているのかというのは、国内市場で、どの業界が潤うのかの違いとなって顕在化してきます。
輸出については、増減そのものよりも、お金の回り方に着目した方がよいでしょう。
加谷珪一(かや・けいいち)
経済評論家・投資家。仙台市生まれ。1993年東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は、ニューズウィークや現代ビジネスなど数多くの媒体で連載を持つ。億単位の資産を日常的に運用する個人投資家でもある。
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