一方、まひろは「粛清さん」と呼ばれる監査部の日野(柄本時生)のもとで働くことを命じられます。ちさと以外とはうまくコミュニケーションできないまひろは、この異動に抵抗しました。「いろんな業種も経験したくありませんし、成長もしたくありません」という台詞は、このときのまひろが口にしたものです。上昇志向に乏しく、現状維持を好むのはZ世代の特徴、いや今の日本人全般の気分でしょう。

 与えられた仕事はきちんとやるから、自分の時間と世界は大切にしたい。会社側に自分自身の内面にまで干渉されたくはありません。社内で出世もしたくないし、他の社員と競争もしたくないし、役職にも就きたくないです。でも、組織全体が成長することを必要とする会社組織は、それを許してはくれません。やはり、会社と個人は相容れないものがあります。こーゆー、若い世代の能力と労働意欲をどう生かすことができるかが、日本社会の今後の重要ポイントになるんじゃないですかね。

 まひろは殺し屋以外の仕事に転職はできそうにないので、嫌々ながらも日野のもとで働くことに従います。見た目はヤバそうな日野ですが、第6話ではプロの殺し屋たちを瞬殺していました。とても優れた殺し屋であることは確かです。また、それゆえに殺し屋たちからは忌み嫌われて「粛清さん」と呼ばれているそうです。

 大ヒット公開中の劇場版第3弾『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』では池松壮亮が一匹狼の凄腕殺し屋・冬村かえでを熱演していますが、冬村は「ちさとに出会えなかったまひろ」的なぼっちキャラとして造形されています。『ベビエブ』の日野も、ちさとと別れた将来のまひろの姿なのかもしれません。ちさと&日野のまだら金髪コンビはどんな化学反応を起こすのでしょうか。こちらも目が離せません。

 ジョブローテーション編では、ちさとが片目を負傷し、血まみれになっている姿が予告されています。ちさとを襲った相手は誰なのか? 営業部内でのトラブルなのか、それとも営業部の不正を暴こうとした監査部との間に抗争が起きるのか? ちさととまひろが直接対決しないことを願うばかりです。

青春キラキラ映画によくあるパターンだが……