だいたい他人を陥れたり蔑んでも、そんなことをする人間にチャンスは回ってこない。クソみたいな承認欲求をそんなことで満たして優越感に浸れる人間を私は軽蔑している。報われる人間というものは、いつも諦めずに努力している。

 もちろん努力したから必ず報われるほど、世の中は甘くないだろう。そこに保証なんてものも存在しない。だが、何かを達成している人間は、必ず諦めずに努力しているのは事実だ。

 そして常に先を見ている。つまり休む暇なく先へと進んでいるのである。その過程の中でお世話になった人や作品に携わってくれた人を大事にすることは道理である。だからこそ、みんな話題になれば、はしゃいでもくれるし、喜んでくれるのではないか。

 今回ABEMAで放送される『インフォーマ-闇を生きる獣たち-』には、画面だけでは決して見えることのない力強さが備わっている。

『インフォーマ』を生み出してきた私たちがやるのだぞ。常識を超えていかなければ、意味がないではないか。ありきたりの物語を生み出して、「まあまあだったね……」と言われ、観てくれる人々の心を揺さぶることも鷲掴みにすることもできないくらいなら、はじめからやらないほうがいいではないか。

 多くの人がSNSに刺激を求める世の中になっても、現実社会は何も変わらない。肌に触れるもので温かみを感じ、耳にする声や目に映るものに、感動や興奮、刺激を覚えるのだ。さまざまな人間模様の中で作り出さた作品だからこそ、世の中へと解き放つ意味があると私は思っている。

 もうSNSの情報に怯えたり一喜一憂するのはうんざりだろう。それをよくよく理解した上で、SNSを軸に展開される犯罪や社会問題を作品に取り入れることに、この時代に届ける意義があるのではないか。『インフォーマ-闇を生きる獣たち-』はそんな試みもしている。

 すべての作品作りは活字から始まる。好きだけではできない作業だ。地味で孤独でもある。それだけに話題になったときは、そうした葛藤をすべて超越するのだ。