■たぶん「歌ネタ」が不利じゃない

 昨年、ヨネダ2000がリズムネタから歌ネタにシームレスに変化していく「餅つき」を披露し、647点の高得点を記録。審査員全員が90点オーバーを与えている。塙宣之は自己最高の96点。礼二と大吉は90点、91点と決して高評価ではないが、「歌ネタだから」というコメントはなかった。

 2021年のトップバッターはモグライダー。美川憲一の「さそり座の女」をモチーフにした、正真正銘の歌ネタである。637点は当時のトップバッターにおける最高得点であり、モグライダーは大会を盛り上げた功労者として大きく評価を上げ、翌年には大ブレークを果たしている。

 20年、ファーストラウンドで2位に10点差をつけてトップに立ったのは、『M-1』史上もっとも歌ったのではのではないかと思われる、おいでやすこが。会場もめちゃくちゃにウケたし、礼二からは「歌ネタというのは入りやすいんで」と今回と同じような発言もあったが、実際には95点を入れている。

 19年、トップバッターのニューヨーク。今回のダンビラムーチョの前に、『M-1』でスベッた歌ネタである。松本と屋敷裕政の「笑いながらツッコミが……」「最悪や!」のやり取りで有名な場面だが、歌ネタについての言及は特になかった。

 少しさかのぼって16年、この記事で言いたかったのはこの回の話である。ファーストラウンド、銀シャリは「ドレミの歌」をテーマに堂々とした歌ネタを披露。審査員5人のうち4人が自己最高得点を入れて銀シャリがトップ通過。そのまま優勝を果たしている。だが、このときも礼二は91点というそこそこの評価。スーパーマラドーナと和牛に95点を入れている。