タコナクション:鯛焼きの型を作るイメージです。片面ずつ型を取り、この中に樹脂を流して原型を作ります。最後に、それを鋳造(金属を溶かし固める加工法)するという感じです。
――型取りした後、そのタコは食べるんですか?
タコナクション:食べられないんです……。いろいろ薬品がついているのと、シリコンで型を取るのに半日ぐらいかかるので夏場だと傷んでしまうんですね。で、時間を置けば置くほどタコの原型も崩れてしまいます。タコのアクセサリー作りは時間との勝負でもあるんです。
――ちょっと気になったのですが、競馬が好きな人は馬肉を食べられないって言うじゃないですか。タコナクションさんはタコを食べるのは問題ないですか?
タコナクション:食べます(笑)。
◆「これ、タコだよ」「え、それタコなの!?」で初めて完成
――タコナクションさんが作るアクセサリーは、“タコ好き”の人たちにウケているのでしょうか? それとも、個性的なアクセサリーを求める人が購入している?
タコナクション:両方ですね。タコという生き物そのものが好きな人は、見るからにタコとわかるアクセサリーを購入されます。一方、「身につけたいけどあんまり主張が激しいのはなあ」という人もいて、そういう方たちはパッと見ではタコとわからないアクセサリーを選ばれます。
私のコンセプトでもあるのですが、「日常に擬態する」アクセサリーを今までたくさん作ってきました。「これ、タコなんだよ」と友だちに教えたら「え、そうなの!?」と驚かれ、そこで初めて完成する作品。例えば、タコの足の先っぽを真珠で挟んだ指輪は「日常に擬態する」アクセサリーです。
――まじまじ見たことがないのでわからないのですが、タコの足の先っぽなんでしょうね……。
タコナクション:海外の一部の地域でタコは「デビルフィッシュ」と呼ばれており、「怖い」「気持ち悪い」と悪魔的なイメージを抱かれる側面があります。だから、タコのアクセサリーを見つけたとしても、黒っぽくてゴツゴツした男性寄りのものが多かったんですね。自分が身につけたいものがなかったのも、アクセサリー作りを始めた一つのきっかけです。ファッションは綺麗目だけれど、こだわりが強く、人と被らないようなものが好き。そんな人につけてもらいたいと思って制作しています。