◆“いい加減な色男”を演じて
――“逃げ道”とは、いろいろと解釈できる言葉ですよね。
柄本:ここ最近は120点を出す、自分をむき出しにするみたいなことがわりといいとされていて。そこに関しては確かにいいとは思うけれど、僕はそこに違和感を覚えているんですよね。
――公開中の『春画先生』では、通称“いい加減な色男”・編集者の辻村俊介という役柄を、それこそ軽妙に演じられています。
柄本:“いい加減な色男”は僕が言ったわけではなく、塩田明彦監督が衣装合わせの時におっしゃっていたことですが(笑)。ただ僕もその通称は、しっくりくるものがあるなと思いました。
辻村も春画先生(内野聖陽)を一番に尊敬していて、誰よりも『春画大全』の完成を楽しみにしているんです。それは、まるで青春を謳歌しているような感覚にも近い。
きっと春画先生に会う時に心のリミッターが外れてしまい、自分もそのひとりであると、春画の絵の中の人物に近い一面があるように思ったんじゃないかなと。